くるす桜の夜

何年前だったろう
岐阜県郡上市薪能「くるす桜」の話を聞いたのは。

列車を乗り継いで、単線でとことこ出かけて行く岐阜の山奥にある小さな町。
暗がりと静寂、虫の音と星空の下、
薪の炎に照らされてとりおこなわれる薪能の幽玄の世界。


友人が行って深く感動したというくるす桜の話を聞いて以来、
私は薪能と名前のつくものにはとても敏感になっていた。
京都に住み、岐阜も幾分身近に感じられるようになっていたものの、
なかなか行けずにいた郡上の町。
やっと、やっと、行く事ができた。。。。
その、念願の、「くるす桜」。
わたしは随分によく寝た。
地元の方達による手作りの、
それはそれは美味しい朴葉ずしやビールで満足至福、
始まった瞬間に起きてはいられないことがはっきりしていた。


クライマックスに向かい
高鳴る笛の音とひくくひくく、はうように連なる歌声に
あぶらぜみとひぐらしの鳴き声が入り交じる。


夕刻をすぎて深まる空の群青に
神社の大木の影がはえて、木造の舞台を覆っている。


視覚と聴覚がいっしょくたになってぐるんぐるんとわたしの周りをまわり、
起きているのか寝ているのかさえ分からないような状態で
ひたすら入ってくるものに耳を目を傾けていた。
脳が気持ちいいと叫んでいた一瞬を思い出せるから、
これもまた能に酔いしれたことになるのだろうか(ならないか)


さて来年は、どんなくるす桜を観る事になるだろう。
これからきっと毎年でかけて行こう。
そんな風に思える、
豊かであたたかな想いに満ちたお祭りであることだけは、確かです。
《会場の明建神社の舞台。質素、素朴で、力強い。》


朝  :京都駅構内のパン屋さんのパン(おすすめできません)
昼&夜:朴葉ずし(ますとみょうが)、ゴーヤの天ぷら、唐揚げ、お漬け物、
    青竹を割った器に入ったおそうめん(しそ、みょうが、ねぎ)
    みたらし団子、ブルーベリー大福、きゃらぶき、おにぎり、天むす、豚のネギマ、
    ビール、ビール、ビール、、、


た、食べたな。。。